書籍紹介

2020年6月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« bjリーグの貴重な挑戦 | トップページ | 経済学者vs弁護士の雇用規制緩和に関する議論に絡んでみた(その2) »

2011年1月23日 (日)

経済学者vs弁護士の雇用規制緩和に関する議論に絡んでみた

先日までツイッターで盛り上がっていた経済学者vs弁護士の雇用規制緩和に関する議論が興味深く、また最近投稿した企業スポーツに関する論文で経済学の「比較制度分析」について勉強していたので自分なりにつぶやいたのをまとめてみます。

議論の経緯についてはこちらです。

労働者保護,選択の自由と児童労働
労働者保護,選択の自由と児童労働(2)
労働者保護,選択の自由と児童労働(3)

McMaster大学経済学部助教授の山口先生のツイートに対してつぶやいたところ山口先生からリプライをいただいたので、ついでにと思い僭越ながら安藤先生や小倉先生にも@を飛ばしてつぶやいてみました。

特に日本大学の安藤先生はミクロ経済学、労働経済学の専門家でゲーム理論についてもお詳しいようなので完全に「釈迦に説法」なのですがw、僕の理解の未熟な部分をご指摘いただけるならありがたいと思っています。

トゥギャッターのまとめはこちら

@ks736877 明確化、厳格化すればルールは守られるのだろうか?終身雇用は解雇規制によって守られているのだろうか? RT @sy_mc: 中期雇用を認めるならどのような理由があろうとも使用者側から解雇することは出来ないということですね。ルールの明確化、厳格化はよく聞く論点 RT @ssk_ryo

@sy_mc(山口先生)
@sy_mc @ks736877 守るのが不可能なルールには意味が無いのはもちろんですが、ここで私が指摘したかったのは、ルールがなんなのか分からないという状態は、労使双方にとって有益ではないのでは、ということです。

@ks736877
山口先生ご返信ありがとうございます。仰る通りルールの明確化は重要な要件だと思いますが、僕は変更したルールの実効性とルールの移行可能性やプロセスが気になっております

@ks736877
長期雇用は規制ゆえではなく、年功賃金や企業別組合、インサイダー寛容な企業ガバナンスなど諸制度と整合的ゆえに成立しているのですよね

@ks736877
いずれにせよ長期雇用は環境不適合、持続不可能なので変えなければならないとして、他の制度との整合性に目配せしないと実効的でないしまたそれが予期されてしまうが故になかなか合意されないですよね

@ks736877
例えば安藤先生が仰るような中期雇用も、労働組合が正規雇用中心の企業別組合では小倉先生が突っ込んでいたようにうまく機能しないのではないでしょうか 

@ks736877
労働者にとってクレディブルな利害代表者や第三者機関が存在しないのに選択肢と流動性だけ高めても、労働者は選択できず逆に企業にいいように利用されてしまうだけかもしれません 

@ks736877
また企業のモラルハザードを防ぐうえでも企業ガバナンスがインサイダーに寛容なままではモニタリングや評判の機能がうまく働かないかもしれない

@ks736877
今言ったようなことって、そういうふうに予期されること自体が制度移行を難しくするように“予期”してしまうのですが・・

@ks736877
また日本的雇用慣行が実効的なのは協調的で疑似共同体的な労使関係によるところもありますよね。会社は空洞化した地域共同体の代替的な側面もある。雇用の多様化と流動化はそこを直撃します 

@ks736877
つまり経済的なセーフティネットだけではなく、会社に代わる社会交換ドメインの再構築が追いつかないとなかなか制度移行が進まない。こういうのは社会学者が言ってることだと思いますが 

@ks736877
ただ僕は解雇規制などの雇用制度の変更から全体的な制度設計の漸進的な変更を促す可能性は否定しません

@ks736877
組合の機能不全、インサイダー不寛容なガバナンス、労使関係の悪化、雇用の流動化などはすでに長期雇用の条件を満たせなくなりつつある中小企業で構造的に起こっているのかもしれません 

@ks736877
だとすると制度の明確化と厳格な運用はむしろ実態に法制度を合わせるだけのことかもしれない

@ks736877
でも労働者の利益代表や第三者機関がクレディブルでなく代替的な社会交換ドメインが確保されたわけでもないのにそうしたフォーマルルールの変更が本当に機能するのかどうか、疑問は残ります

@ks736877
連続ツイート失礼いたしました

------------------------------------
僕は制度経済学を社会学的な視点で見すぎているかもしれません。
ただ、池田先生などは小倉先生のことを「ソフィスト(詭弁家)」とおっしゃっていますが、上記のような観点から僕はそうは思いません。

日本的雇用慣行、特に長期雇用と年功賃金が成立する前提条件は将来に渡って企業収益が増加することです。経済成長期の日本であれば多くの企業が満たしていたかもしれませんが、低成長時代に入って多くの企業がこれを満たさなくなっています。特に中小企業では早い段階からムリがきているのだろうし、労使関係でさまざまな問題が生じているのではないかと推察します。企業を疑似共同体として自尊感情を依存してきた世代にとって、解雇は単に経済的な問題だけでなく、自意識に関わる深刻な意味を持つのではないかと想像します。

小倉先生が弁護士としてそうした「当事者性」をベースに議論しているのだとすれば、彼の経済学者への反論を必ずしも詭弁と片付けてしまうことはできないと思います。例えば、「XはYである。Xではない。故にYではない」という「前件否定の虚偽」も、「XとYがえてして同値になりがち」という「社会的実態」(当事者性)があるならば、必ずしも詭弁とは言い切れません。小倉先生はその「社会的実態」を議論のベースにしているわけですから。
Wiki「詭弁」参照)

経済学者からみれば、小倉先生を説得できないのと、社会制度が自分たちが思う方向に変革しないこととはパラレルな気がしますし、ふだん自分たちが主張している抽象的でマクロな経済政策の「実務法曹による検証の機会」とポジティブにとらえれば、議論が実りあるものになるのではと思います。

そういう意味で僕は、冷静にニュートラルなスタンスで小倉先生と議論されている安藤先生に好感を持ちます。


« bjリーグの貴重な挑戦 | トップページ | 経済学者vs弁護士の雇用規制緩和に関する議論に絡んでみた(その2) »

コラム」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 経済学者vs弁護士の雇用規制緩和に関する議論に絡んでみた:

« bjリーグの貴重な挑戦 | トップページ | 経済学者vs弁護士の雇用規制緩和に関する議論に絡んでみた(その2) »

ツイッター